中古のアルファード価格が暴落中!一体なぜ?値崩れの理由と今後のリセール推移予想

2025-11-09


かつては「リセール最強」と言われたアルファード。その中古価格が『暴落している』『値崩れがヤバい』と聞き、購入を迷っていませんか? なぜ急に安くなったのか、この値下がりはいつまで続くのか、気になりますよね。この記事では、元自動車業界15年のプロが、中古アルファード価格が下落している5つの深刻な理由と、今後の価格推移を徹底的に分析・予想します!今が本当に買い時なのか、その答えが見つかります。


1. 中古アルファード「暴落」の噂は本当か? 最新の相場動向

「キング・オブ・ミニバン」として、長年日本の自動車市場の頂点に君臨してきたトヨタ・アルファード。新車はもちろんのこと、中古車市場においても「異常」とも言えるほどの高いリセールバリュー(再販価値)を維持し続けてきた車です。3年乗っても、場合によっては新車価格とほぼ同等、あるいはそれ以上で売れることもあったほど。それが、ここに来て「暴落している」「値崩れが始まった」という声が、SNSや中古車情報サイトの口コミなどで急速に広まっています。

この噂、果たして本当なのでしょうか? 元自動車業界に15年身を置いたプロの視点から、まずは最新の相場動向の「リアル」を冷静に分析します。

結論から言えば、「暴落」という言葉はセンセーショナルすぎるかもしれませんが、「異常な高騰状態が終わり、明確な下落トレンドに入った」というのは紛れもない事実です。


1-1. 「暴落」は本当? モデル別に見る価格のリアル

「アルファード」と一口に言っても、年式やモデルによって状況は大きく異なります。

まず、最も「値崩れ」が顕著なのが、先代モデルである30系、特に2017年以降の後期モデルです。つい1~2年前までは、走行距離が多少延びていても、高年式の人気グレード(例えば「S "Cパッケージ"」や「Executive Lounge」)であれば、新車価格に迫る、あるいは超えるような強気の価格設定が当たり前でした。

ところが現在、中古車情報サイトを見てみると、同じような条件の車両が、ピーク時に比べて数十万円、場合によっては100万円以上も安い価格で流通しているケースが目立ちます。これは、まさに「値崩れ」と呼べる状況でしょう。

一方で、さらに古い20系アルファードや、30系の前期モデル(2015年~2017年)については、すでに市場価格がある程度下がっていたため、30系後期ほどの急激な下落は見られません。とはいえ、30系後期が安くなったことで、相対的にこれらのモデルも引きずられて緩やかに下落している、というのが実情です。

つまり、「暴落」と騒がれているのは、主にこれまで異常な高値で推移していた30系後期モデルが、急速にその価格を下げている現象を指しているんですね。


1-2. 新型(40系)登場前後の価格変動

この価格変動の最大のトリガーは、言うまでもなく2023年6月に発表された新型アルファード(40系)の登場です。

自動車のモデルチェンジは、中古車相場に最も大きな影響を与えるイベントです。新型が出れば、当然ながら旧型(先代モデル)の価値は下がります。これはアルファードに限らず、すべての車種に共通する市場原理です。

しかし、今回のアルファードの場合は、その影響が通常よりもはるかに大きく出ています。

新型発表の直前(2023年春頃)は、「新型が発表されたら、旧型(30系)からの乗り換え需要で中古車が市場にあふれ、値崩れする」という予想と、「いや、新型はどうせまた長納期で手に入らないから、すぐに乗れる30系後期の価値はむしろ上がる(または高止まりする)」という予想が交錯していました。

結果として、前者の「値崩れ予想」が的中した形です。新型40系が、当初の予想を上回るペースで(もちろん長納期ではありますが)生産・納車され始めたこと、そして何より、30系を「リセールが良いから」という理由で乗っていた層が一斉に売却に動いたことが、相場を大きく押し下げる要因となりました。


1-3. SNSやネットで「安い」と言われる実態

SNS上では「アルファード、まじで安くなってる」「暴落キター!」といった投稿が目立ちますが、これには少し注意が必要です。

確かに価格は下がっています。しかし、それはあくまで「異常だった数年前の価格と比べて」安い、ということです。

例えば、新車価格が500万円の30系後期S "Cパッケージ"が、3年落ちで450万円(残価率90%)で売買されていたのが「異常な高騰期」です。 それが今、同じモデルが350万円(残価率70%)になったとします。

「450万円が350万円になった」のを見れば「100万円も暴落した!」となります。 しかし、そもそも「3年落ちで残価率70%」というのは、他の車種と比べれば依然として非常に高いリセールバリューであることに変わりはありません。一般的な国産ミニバンなら、3年で残価率が50%~60%になっても何ら不思議はないのですから。

つまり、ネットで騒がれている「暴落」や「安い」という言葉は、「アルファード神話が終わった」「異常なプレミア価格が剥落した」という文脈で捉えるのが正確です。決して、アルファードが他のミニバンと比べて不当に安売りされているわけではない、という点は冷静に認識しておく必要があります。

とはいえ、購入を検討している側からすれば、あの高嶺の花だった30系後期が、ピーク時より100万円以上安く狙える可能性があるというのは、とんでもないビッグチャンスが到来している、とも言えますよね。


2. なぜ? 中古アルファードが値崩れする5つの深刻な理由

「異常な高値だったものが正常化しているだけ」とはいえ、これほど急激に価格が下落している背景には、いくつかの深刻かつ複合的な理由が存在します。

なぜ、あれほど鉄壁のリセールを誇ったアルファード(特に30系後期)が、今になって一気に値崩れし始めたのでしょうか。元業界人として、その裏側にある5つの大きな理由を深掘りします。


2-1. 理由①:新型40系アルファード/ヴェルファイアの登場と供給

これが最大の理由であることは、誰の目にも明らかでしょう。新型40系の登場です。

前章でも触れましたが、新型車の登場は旧型中古車の価格を下げる最大の要因です。 特にアルファードのような人気車種では、新型に乗り換えたいと考える既存オーナー(30系ユーザー)が非常に多いため、彼らがこれまで乗っていた30系を一斉に手放します。

需要(中古車を買いたい人)に対して、供給(中古車として市場に出回るタマ)が急激に増えるわけですから、価格が下がるのは当然の摂理です。

しかも、今回の40系は、デザインや性能の大幅な進化はもちろんのこと、当初懸念されていた「半導体不足による極端な生産遅れ」が、トヨタの必死の増産体制によって(もちろん依然として納期は長いものの)徐々に解消されつつあります。 「新型が手に入る目処が立った」オーナーたちが、リセール価値が少しでも高いうちに(=値崩れが本格化する前に)と、我先にと30系を売却した結果、中古車市場が30系であふれかえる事態を招いているのです。


2-2. 理由②:30系後期の「供給過多」状態

新型登場による「乗り換え売り」に加えて、30系後期が市場にダブつく理由は他にもあります。これがまた、根深い問題なんです。

2-2-1. コロナ禍と半導体不足の反動

思い出してほしいのですが、2020年~2022年頃は、コロナ禍と半導体不足で「新車がまったく買えない」時代でした。

当時、アルファードの新車も当然のように長納期でした。そこで何が起こったかというと、「新車が待てない」富裕層や法人が、新車同様の30系後期の中古車(いわゆる新古車)や、低走行の極上中古車を、新車価格を大幅に超えるプレミア価格で購入するという異常事態が発生しました。

彼らは「どうせリセールは高いんだから」と、そのプレミア価格を受け入れて購入しました。 しかし、新型40系が登場し、いざ乗り換えようと売却する段になって、状況は一変。中古車市場はすでに30系であふれかえり、買い取り価格は彼らが購入したプレミア価格には到底及ばない、という事態に直面しています。

つまり、半導体不足の時代に「高値掴み」してしまった層が、今、損失覚悟で売却に動いており、それが市場の供給過多と価格下落に拍車をかけているのです。

2-2-2. リースアップ・残価設定ローン終了車両の増加

もう一つの供給過多の理由は、もっとシステマティックなものです。 それは、リース契約や残価設定ローン(残クレ)の期間満了を迎える車両の増加です。

特に30系後期が飛ぶように売れていた3~5年前(2019年~2021年頃)に契約された車両が、今まさに「3年後」「5年後」の満了時期を迎え、中古車市場に大量に流入しています。

  • リースアップ:法人などがリース契約で乗っていた車が、契約期間(3年や5年が多い)を終えてリース会社から中古車市場に放出されます。

  • 残クレ終了:個人が残クレで購入した車が、設定期間(3年や5年が多い)の満了を迎え、「車を返却する」または「新しい車に乗り換える」を選択することで、中古車市場に出てきます。

特に30系後期は、その高いリセールバリューを背景に、非常に高い残価(返却時の車両価値)が設定されていました。そのため、月々の支払いを抑えられる残クレでの購入が爆発的に普及しました。

これらの車両が、新型40系登場のタイミングと重なって、まるでダムの放流のように中古車市場に流れ込んでいる。これが、30系後期の供給過多と値崩れを引き起こしている、非常に大きな構造的要因なのです。


2-3. 理由③:海外(特に東南アジア)の需要変化と規制

「アルファードのリセールは海外需要が支えている」 これは、自動車業界では常識中の常識でした。特にマレーシアやシンガポール、タイといった東南アジア諸国では、アルファード(特に30系後期)は、現地での正規販売価格が非常に高額なこともあり、日本からの中古並行輸入車が絶大な人気を誇っていました。

日本の「S "Cパッケージ"」などの人気グレードは、彼らにとってステータスの象徴であり、日本での中古車価格を遥かに超える金額で取引されていたのです。日本の中古車輸出業者は、これらの国々にアルファードを輸出することで莫大な利益を上げていました。

しかし、この「海外バブル」が弾け始めたのです。

最大の要因は、各国の輸入規制強化です。 例えば、最大の輸出先の一つだったマレーシアでは、2024年頃から中古並行輸入車に対する規制が段階的に強化されています。製造年式に関する規制(例:製造から1年以上5年未満しか認めないなど)や、安全基準の厳格化など、様々な規制が導入・強化され、日本から30系後期を「高値で」輸出することが難しくなってきているのです。

また、ロシア向け輸出も(ウクライナ情勢による経済制裁の影響で)かつてほどの勢いはありません。

これまで中古アルファードの価格を異常なレベルで吊り上げていた「海外輸出需要」という太い柱が、規制強化によって揺らいでいる。これが、国内の中古車相場にもろに跳ね返ってきているのです。国内の業者は、もう海外に高値で転売できないため、高い金額で買い取ることができなくなった、というわけです。


2-4. 理由④:競合車種の台頭と選択肢の多様化

アルファードの独壇場だった高級ミニバン市場ですが、ここに来てライバルの存在感も増しています。

もちろん、最大のライバルは兄弟車であるヴェルファイア(40系)です。新型になって、アルファードとの差別化を明確にし、よりスポーティでアグレッシブな「走り」のキャラクターを打ち出したことで、新たな顧客層の獲得に成功しています。

また、日産エルグランドも、モデル末期とはいえ根強いファンがいますし、輸入車に目を向ければメルセデス・ベンツVクラスや、最近ではヒョンデのスターリアなど、大型ミニバンの選択肢も多様化しています。

さらに言えば、ミニバンにこだわらなければ、同価格帯にはランドクルーザープラド(中古)RAV4ハリアーといった人気の大型SUVもあります。

「アルファード一択」だった時代が終わり、消費者の選択肢が広がったことも、中古アルファードの価格が(正常な範囲に)落ち着く一因となっていると考えられます。


2-5. 理由⑤:維持費の高さと経済状況の変化

最後に、見逃せないのが経済状況の変化です。

アルファードは、車両本体価格だけでなく、維持費も「キング」級です。 排気量2.5Lまたは3.5L(30系)の自動車税、大柄なボディが要求する高額なタイヤ代、燃費(特にハイブリッドでないガソリン車)、そして任意保険料。すべてが一般的なファミリーカーと比べて高額です。

昨今の物価高やガソリン価格の高騰、実質賃金の伸び悩みといった経済状況の中で、「見栄やリセールのために高い維持費を払い続けるのはしんどい」と感じる層が一定数出てきても不思議ではありません。

「アルファードは欲しいけど、維持費を考えるとちょっと…」と、より経済的なシエンタやノア/ヴォクシー、あるいはSUVやコンパクトカーへと需要がシフトしている可能性も、中古車相場の落ち着きに(間接的にではありますが)影響していると私は見ています。


3. 【失敗談】私がアルファードのリセールでしくじった話

ここで、ちょっと恥ずかしいのですが、車業界に長くいた私自身の失敗談をお話しさせてください。まさに、このアルファードのリセール神話に(良い意味でも悪い意味でも)振り回された経験です。

あれは、半導体不足が最も深刻だった2022年のこと。当時乗っていた車の車検が迫っており、次の車を探していました。もちろん、新型アルファード(当時はまだ40系の噂レベル)も気になっていましたが、とてもじゃないけど新車は手に入らない状況。


3-1. 高値掴みと売却タイミングの誤算

私は何を血迷ったか、「どうせアルファードはリセールが落ちないんだから、今、少々高くても中古を買って、新型が出たらすぐに乗り換えれば損はしない(むしろ儲かるかも?)」という、今思えば浅はかな皮算用をしてしまったのです。

そして、走行距離1万キロ未満の30系後期 S "Cパッケージ"を、ほぼ新車価格と変わらない(というか、諸費用込みだと新車より高い!)金額で、中古車販売店から購入してしまいました。「この輝きが手に入るなら…」と自分に言い聞かせて。

当時は満足していました。乗り心地は最高ですし、優越感も半端ない。しかし、その「神話」が崩れるのは早かった。

2023年に新型40系が発表され、私は「よし、計画通り売却して新型の抽選に申し込むぞ!」と意気揚々と買取店を回りました。 ところが、提示された金額は、私が想定していたよりも遥かに低いものだったのです。

「え? なんで? 1年ちょっとしか乗ってないのに、こんなに下がるの?」

買取店の担当者は言いました。 「いや、お客さん。もう相場は完全に変わりましたよ。新型が出たのと、海外(マレーシア)の規制が厳しくなって、30系後期は輸出に回せなくなったんです。国内はタマがダブついちゃって…」

ガツーン! と頭を殴られたような衝撃でした。

私が購入した時の価格(新車超えのプレミア価格)は、まさに「海外輸出バブル」の真っ只中にあった価格。しかし、売却しようとした時には、そのバブルが弾け、新型登場による国内の供給過多というダブルパンチを食らっていたのです。

結局、私の手元には「高値掴みした中古アルファード」と「新型への乗り換え資金の大幅な目減り」という現実だけが残りました。購入時の価格から、売却価格を引いた「損失額」は、ちょっとここじゃ言えないくらい(一般的な国産コンパクトカーが新車で買えるくらい)の金額になりました…。まじで、あの時は血の気が引きましたね。


3-2. 教訓:リセールモンスターにも「旬」がある

この手痛い失敗から得た教訓は、「リセールモンスターにだって、旬(賞味期限)がある」ということです。

アルファードのリセール神話は、

  1. 圧倒的な国内での人気

  2. 旺盛な海外(輸出)需要

  3. 新車供給の絞り込み(長納期)

という3つの要素が奇跡的に組み合わさって成り立っていた「バブル」だった側面があります。 今回、新型40系の登場と海外規制の強化によって、そのうちの2つの要素が大きく揺らいだのです。

「アルファードだから大丈夫」という思考停止は、最も危険です。市場は常に動いています。特に、アルファードのような国際的な相場(輸出)に左右される車は、国内の事情だけでなく、海外の法規制や為替の動向によって、一夜にして価値が激変するリスクを孕んでいるのです。

私のように「高値掴み」をして、売却時に泣きを見ないためにも、今の「値崩れ」が起きている理由を正しく理解することが、本当に重要なんですよ。


4. 今後はどうなる? 中古アルファードの価格推移とリセール予想

さて、ここまでは「なぜ値崩れしたのか」という過去から現在にかけての話でした。 読者の皆さんが本当に知りたいのは、「じゃあ、今後はどうなるの?」ということですよね。

この「暴落」とも言われる値下がりは、一時的なものなのか? それとも、まだまだ下がり続けるのか? そして、今買うとして、将来のリセールバリューはどうなるのか? 元プロの視点で、今後の価格推移をズバリ予想します。

(※あくまで業界経験に基づく私個人の予想であり、将来の価格を保証するものではありません。参考程度にお聞きください。)


4-1. 30系後期モデルの今後の値動き予想

まず、今回の大幅下落の主役である30系後期モデル(2017年~2023年)です。

結論から言うと、「今後も緩やかな下落トレンドが続く」と予想します。 「暴落」と呼べるほどの急激な下げは一旦落ち着くかもしれませんが、ピーク時の価格に戻ることはまずないでしょう。

理由は以下の通りです。

  • 供給過多の継続:新型40系の納車が今後も進むにつれて、下取りや売却で市場に出回る30系後期は増え続けます。

  • リースアップ/残クレ満了の波:前述したリースアップや残クレ満了の車両が、今後1~2年にわたって市場に供給され続けます。これが最大の下げ圧力です。

  • 海外需要の先行き不透明感:一度強化された輸入規制が、すぐに緩和されるとは考えにくいです。海外バブルの再来は期待薄です。

  • 「型落ち感」の強まり:街中で40系を見かける機会が増えれば増えるほど、30系には「旧型」というレッテルが色濃く貼られていきます。

つまり、30系後期の中古車相場は、これまでの「異常なプレミア価格」から、「人気車種としての適正な中古車価格」へと着地(正常化)するプロセスが、今後も続くということです。

「買い時」という観点では、急激な下落が落ち着き、相場が底を打つと予想される半年~1年後あたりが、最も美味しいタイミングになるかもしれません。


4-2. 20系・30系前期モデルの動向

では、さらに古いモデルはどうでしょうか。 20系アルファード(2008年~2015年)や、30系前期モデル(2015年~2017年)です。

これらのモデルは、すでに30系後期ほどの急激な価格変動はありません。年式相応に、緩やかに値下がりし続けています。

しかし、30系後期が「値崩れ」によって、30系前期の価格帯に近づいてきているため、「あと少し足せば、新しい30系後期が買える」という状況が生まれています。 これにより、割高感の出てきた30系前期や、年式が古すぎる20系は、相対的に需要が減り、値下がりが加速する可能性があります。

特に30系前期は、後期とのデザイン差や装備差(特に安全装備)も大きいため、今後は後期との価格差が(良くも悪くも)縮まっていくでしょう。 予算重視で20系や30系前期を狙うのであれば、この「引きずり下げ」効果で、さらに安価なタマが出てくるのを待つのも一つの手です。


4-3. 新型40系のリセールはどうなる?

「じゃあ、今から新車(または新古車)で40系を買った場合のリセールはどうなるの?」 これも気になるところですよね。

新型40系も、間違いなく高いリセールバリューを維持するでしょう。アルファードというブランド力は健在です。 しかし、かつての30系後期が叩き出したような「3年乗っても90%」といった異常なリセール(神話)は、期待しない方が賢明だと私は考えています。

理由は、30系後期バブルを支えた「海外需要(特にマレーシア)」という大きな柱が、規制強化によって以前より細くなっている可能性が高いからです。 また、トヨタ自身も「転売対策」に本腰を入れており(購入時の誓約書など)、市場の健全化を図っています。

もちろん、他の車と比べれば圧倒的に高いリセール(例えば3年で70%~80%)は維持するでしょうが、「儲かる車」ではなく、「損しにくい車」という、本来あるべき姿に戻っていくのではないでしょうか。


4-4. 専門家・業界関係者の見方

私の周りの業界関係者(中古車販売店の店長や、輸出ブローカーなど)と話をしても、おおむね私と同じ見方です。

  • 「30系後期のバブルは完全終わったね。これからは『普通の』人気中古車だよ。」

  • 「マレーシアがダメになって、中東やアフリカに活路を見出そうとしてる業者が多いけど、マレーシアほどの高値は期待できない。」

  • 「買い取り価格は、ピーク時の100万~150万安が当たり前。お客さんに説明するのが本当に辛い。」

  • 「(購入検討者には)今、30系後期はタマが豊富すぎて『選びたい放題』だから、焦らずじっくり探せる良い時期に入った、とは言える。」

共通しているのは、「異常事態の終焉」という認識です。 この「値崩れ」は、市場が健全化(正常化)している証拠でもあるのです。


5. 「安い」今が買い時? 中古アルファード購入のメリットと注意点

ここまで、中古アルファードが値崩れしている理由と、今後の見通しについて解説してきました。 おそらく、この記事を読んでくださっているあなたの頭の中は、「で、結局、今って『買い』なの?『待ち』なの?」という疑問でいっぱいだと思います。

価格が下落している今、中古アルファードを購入することには、大きなメリットがある一方で、冷静に考えるべき注意点も存在します。最後に、購入を検討しているあなたへ、プロとしての具体的なアドバイスを送ります。


5-1. 値崩れした今、中古アルファードを買うメリット

今、あえて中古の(特に30系後期の)アルファードを買うメリットは、間違いなく存在します。

5-1-1. 憧れの最上級ミニバンが現実的な価格で

最大のメリットは、これに尽きます。 数年前まで「高すぎて手が出ない」「プレミア価格が馬鹿らしい」と諦めていた、あのアルファード(特に人気の30系後期)が、ピーク時よりも100万円以上安く、現実的な価格で手に入る可能性が出てきたのです。

新型40系は、もちろん素晴らしい車ですが、価格もさらに上昇し、最低でも540万円から。人気グレードは600万、700万円を超え、しかも納期は1年以上先です。 それに対し、30系後期であれば、400万円台、あるいは300万円台でも、程度の良いタマが見つかるようになってきました。この価格差は、めちゃくちゃ大きいですよね。

「新型じゃなくてもいい。あの堂々とした30系後期のスタイルが好きだ」という方にとっては、史上最高の買い時が訪れていると言っても過言ではありません。

5-1-2. 豊富なタマ数から選べる

理由②で述べた通り、今は中古車市場に30系後期が「ダブついて」います。 これは売り手にとっては悲劇ですが、買い手にとっては最高の環境です。

在庫が豊富ということは、

  • ボディカラー

  • グレード(人気のS "Cパッケージ"や、豪華なExecutive Lounge)

  • オプション(サンルーフ、モデリスタのエアロなど)

  • 走行距離や年式

といった条件を、じっくりと吟味して比較検討できるということです。 数年前の「早い者勝ち!」「見つけたら即決しないと売れちゃう!」という異常な高騰期とは違い、焦らずに「本当に自分が欲しい一台」を探す余裕があります。これは、中古車選びにおいて非常に重要なポイントです。


5-2. 購入前に絶対チェックすべき注意点

ただし、「安いから」と飛びつくのは危険です。価格が下がった今だからこそ、冷静にチェックすべき注意点があります。

5-2-1. グレードと装備の罠

アルファードは、グレードやオプションによって、新車価格が数百万円も異なる車です。 中古車価格が下がってきたとはいえ、

  • ベースグレード(XやS)

  • 人気グレード(S "Cパッケージ"や SC)

  • 最上級グレード(Executive Lounge) では、中古になっても価格差は歴然です。

「アルファードが300万円台!」という広告に飛びついたら、実は装備が簡素なベースグレードだった…ということもあり得ます。 自分が絶対に欲しい装備(例えば、両側パワースライドドア、サンルーフ、本革シート、安全装備の充実度など)を明確にし、それが目当ての車両に付いているか、必ず確認しましょう。

特にS "Cパッケージ"は、装備のバランスとリセールの高さで圧倒的な人気を誇ったグレードです。どうせ乗るなら、このグレードを軸に探すのが満足度が高いかもしれません。

5-2-2. 修復歴や走行距離の確認

これは中古車選びの基本中の基本ですが、価格が下がってきた今こそ徹底すべきです。 「安い」のには、必ず理由があります。それが「相場全体の下落」によるものなのか、それとも「その個体に問題がある(修復歴あり、過走行、内外装のコンディション不良など)」からなのか、見極めが必要です。

特にアルファードは、法人やハイヤー、送迎用として使われていた(=過走行の)車両も多く市場に出回っています。走行距離が10万キロを超えていても、内外装が驚くほどキレイなタマもありますが、逆に、年式は新しいのに走行距離が異常に多いタマは、そういった使われ方をしていた可能性を疑うべきです。

必ず、信頼できる販売店で、第三者機関の鑑定書などが付いている車両を選ぶようにしましょう。

5-2-3. 海外輸出歴のある車両の見極め(あれば)

これは少しマニアックな話ですが、海外需要が旺盛だった頃、一度日本で登録された中古車が海外(例えばマレーシア)に輸出され、現地で数年使われた後、再び日本に「逆輸入」されて中古車として販売されるケースが(稀ですが)ありました。

また、国内にあっても「輸出(転売)目的」で乱暴に扱われていた可能性や、盗難リスクに備えて不審なセキュリティが取り付けられていた(あるいはその痕跡がある)可能性もゼロではありません。

相場よりも極端に安い車両や、整備記録簿(メンテナンスノート)が不自然に欠落している車両は、少し疑ってかかるくらいの慎重さが必要です。


5-3. 狙い目のモデルとグレードはこれだ!

では、今、プロの私が「友人や家族に勧める」としたら、どのモデルを選ぶか。

ズバリ、「2018年~2020年式の、30系後期 S "Cパッケージ"(ガソリン車・2WD)で、走行距離3万~5万キロ、修復歴なし」 これです。

理由は、

  • 30系後期(デザイン、安全装備)であること。

  • 最も人気とリセールのバランスが良いS "Cパッケージ"であること。

  • 価格下落の恩恵を最も受けやすく、タマ数も豊富であること。

  • 年式と走行距離のバランスが良く、まだ「これから長く乗れる」状態であること。

この条件の車両が、総額で400万円台前半、あるいは300万円台後半で見つかるようになってくれば、それは間違いなく「買い」のサインと言えるでしょう。


6. まとめ

「リセール神話」が崩壊し、価格暴落とまで言われている中古アルファード。 その背景には、新型40系の登場、コロナ禍と半導体不足の反動、リースアップ車両の大量流入、そして海外輸出バブルの終焉という、複数の深刻な理由が複雑に絡み合っていました。

【中古アルファード価格下落のポイント】

  • 現状: 「暴落」は言い過ぎだが、30系後期を中心に「明確な下落トレンド」に入ったのは事実。

  • 理由: ①新型40系登場による乗り換え、②30系後期の供給過多(リースアップ、残クレ満了)、③海外(特に東南アジア)の輸入規制強化による需要減、が三大要因。

  • 今後: 30系後期は、今後も緩やかな下落が続くと予想。「異常なプレミア価格」から「人気車種の適正価格」への正常化が進む。

  • 購入: 買い手にとっては、タマ数が豊富で価格も下がった「絶好の買い時」が到来しつつある。

  • 注意点: 「安い」理由を見極め、グレードやコンディション(修復歴、走行距離)のチェックは必須。

私自身の失敗談(30系後期の高値掴み)からも分かるように、「アルファードだから」という思考停止は危険です。しかし、この「値崩れ」の理由を正しく理解し、冷静に市場を見れば、かつてないほど「お得に」アルファードオーナーになるチャンスが目の前にあることも、また事実です。

この下落トレンドがいつまで続くか、どこで底を打つかは誰にも断言できません。 しかし、豊富な在庫の中から、あなたの予算とライフスタイルに合った最高の一台をじっくりと探せる。そんな贅沢な時間が、今、訪れているのです。

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